大和郡山の家

A House in YAMATOKORIYAMA

a house for 2 generations/Yamatokoriyama-city Nara Pref./2006/photo_T.Numata

もともとこの場所に建っていた小さな家が老朽化し、同じく小さくていいから自分の好きな家具を置いて暮らしたいといった、ごくシンプルな要望で話はスタートした。

JRの4本の線路がトンネルで東山を貫通する手前、線路敷は周囲の住宅地から深く沈み込み両側は大きな法面となっていて、この住宅はその法面の上にある。線路の反対側は密集した住宅地で、この住宅はそうした二つの世界を表裏に持っている。この全く異なる2つの世界を両側に眺めながら、静かにたたずんでいる空間をつくろうとした。

平面形状は台形の敷地の形をそのまま活用したが、その長さが魅力だったことはまちがいない。

室内空間はどちらの領域にも大きく開くことはなく、ただ長さ方向の広がりを生かそうとした。眺望に優れ、プライバシ-の問題が発生しない法面側に、広がりのある横長の開口部を設け、道路側には欄間に横長窓、下には場所によって異なるかたちの独立窓を配置した。建主は魅力的な洋風家具をいくつか持っていたので、それとの関係も考慮した。

道路側には印象的な桜の老木があって、建主もこの桜を楽しもうとしていたので、これと窓との関係も重要だった。困ったことは、桜の側すなわち道側は、プライバシーの点から考えてあまり開きたい側ではないこと、塀で目隠しをつくっても肝心の桜の花を見られる枝は高いところにしかないことであった。結局、室内から直接桜を見るのは欄間にとどめ、むしろ外観上の桜と家との関係を考えた。建て主とともに生きて来た桜の老木に寄り添う新しい住宅、といった感じだろうか。

 

室内の色調は概ね建て主所有の家具を念頭において決めた。個性的な家具の背景として弱すぎず強すぎず、落ち着いた濃色のフローリングと白い壁である。内壁を白くするかどうか考えている時、勿論外壁の色との関係も同時に考えていた。

外壁を白くしたのは、この住宅が、真新しいちょっと不思議な物体として長大な土手の上に置かれたところを白でイメージしたからだ。線路敷の対岸からのシーンのことだ。手前の土手には適度な樹木も生えているから、そうしたシーンが強烈すぎることにならないことも、選択の理由だ。

私は普段、どちらかといえばむしろ黒っぽい色の外壁を好み、物体としての建築の存在を消して、手前の緑の美しい背景としてのありかたを優先することが多いのだが、ここでは、河川敷の強烈な断面地形が別の発想を誘起したように思う。平屋で単純な形にしたから、黒っぽい色ではその存在がほとんど見えない。

 

室内の微妙な段差は、やはり既存の敷地形状をヒントにしたものである。単純な一枚屋根の下の、ちょっとした落差。玄関から入って振り向きざまに見下ろす視線の感じは、小さいながらもちょっとしたアクセントになるはずだ。このような段差は、日常生活のバリアーフリーに反することだが、同じく日常生活の寝室との行き来で、その視線の戯れを楽しめるのではないか.

所在地:奈良県大和郡山市

主要用途:専用住宅

敷地面積:595.28㎡

建築面積:173.76㎡(既存部125.67㎡/増築部48.09㎡)

延床面積:228.39㎡(既存部141.11㎡/増築部87.28㎡)

規模:地上2階建

主体構造:木造在来工法

施工:勝部建設

掲載誌:CONFORT'07.04

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