上賀茂の家
A House in KAMIGAMO
a house for three persons/Kita-ku Kyoto-city/2012/photo_K.Sugino
両親と子ども一人の3人家族の住まいである。40m×11mの直角三角形に近い形の敷地は前面道路とともに急勾配で、一般的には家が建つとは思えない状況であった。加えてこの敷地には、近くの平坦な土地と同様、伝統的な勾配屋根や仕上げ素材を求める第二種風致地区の指定がかかっている。しかしこれら困難な条件がある一方、この山裾の斜面は、京都市街を見渡すことができる抜群の場所でもある。土地の購入前、建主から相談を受けた私たちは建築実現の可能性を検討し、計画案を作成したが、その確認のためには、行政との事前協議はもちろん、ボーリング調査や基礎工事の工法決定、くい打ち業者の選定まで行う必要があった。
結果的に選択した構造は、鋼管杭上の鉄骨ステージを基礎とした木造2階建、切妻屋根の架構。敷地の勾配と高さ制限との関係から、各階の床を水平につくることも難しく、それぞれがスキップフロアとなったが、屋内空間のシークエンスとしては魅力的な展開となった。
この建築にはもうひとつの特徴がある。2階は南側に明るく開かれたイメージが支配的に見えるが、北西側のウッドデッキの向こうには生い茂った隣家の高木群が連なり、暗く落ち着いた森の奥行きがある。明と暗、その共存が大きな魅力となっている。
所在地:京都市北区
主要用途:専用住宅
敷地面積:245.17㎡
建築面積:60.95㎡
延床面積:118.98㎡+デッキ15.40㎡
規模:地上2階建
主体構造:木造在来工法(基礎:鋼管杭)
構造設計:門藤芳樹構造設計事務所
施工:ウエダ工務店
掲載誌:新建築-住宅特集'12.12
住まいの設計'13.05/06
























