◯住まいいろいろ6「新築?改築?」プロへの相談、お早めに

 

【京都市】

新春の古都は、晴れ着姿の女性で華やぐ。「あのお2人も新しい家で気持ちよく新年を迎えただろうか」

 

1年半前、50代と30代という母娘から電子メールがボクの事務所に届いた。建築雑誌に載ったアドレスを見たらしい。築60年以上という自宅のあちこちにがたが来ているという内容だった。

 

「建て替えか、引っ越しか、リフォームかと悩んでいます。一度プロの方に見ていただきたいと思っているのですが」

 

さっそく訪ねてみた。等持院に近い閑静な住宅街の一角にその家はあった。

 

建物のゆがみがひどくて、力を入れないと玄関の引き戸があかなかった。キッチンも作業スペースに奥行きがなくて使いにくい。風呂やトイレも母屋の外にあるうえに狭かった。

 

だが、新築すれば、風致地区の規制で建物は今よりも小さくなる。かといって、新しく土地を買うのは費用がかかるし、2人も住み慣れた土地を離れたくないようだ。

 

「建て直さなくても、改築すれば十分よくなりますよ」

 

設計事務所にモノを頼む場合、更地を用意するとか、改築部分を指定するとか、図面を引く前までの段取りをすべて決めておく必要があると思っている人が多いようだ。

その方が、こちらもやることがはっきりしているから楽だ。でも、最初からプロに掛け合った方がもっといいものが出来たケースもある。

 

数年前に住んでいた団地で毎月の清掃の日に顔見知りの人と隣り合わせになった。

「実家が古かったので建て直して、そっちに今度、引っ越すんです」。だが、彼の話を聞いていると、元の家を部分的に直せば十分住めるような感じだった。

「構造と間取りを工夫すれば、それで済んだかも……」

彼の表情が、ちょっと曇った。早まったかもしれないという顔つきだった。

 

そんなわけで、母娘はとてもいいタイミングで相談してくれたと思う。基礎を造り直したり、腐った梁を取り換えたりしたが、屋根はそのままで、幅広な高窓を追加した。

 

半年後、リフォームとしてはゆとりのある予算で、木造2階建ての家は生まれ変わった。外観はほぼ以前のまま、中に入ると印象はガラッと変わって、すっかり明るくなった。

 

見かけの汚れや古ぼけた雰囲気にだまされないように。あなたの家もまだまだ捨てたもんじゃないかも。

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